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わき汗(原発性腋窩多汗症)の治療薬が増えました

わき汗のイメージ原発性腋窩多汗症は、腋窩(わきの下)に大量の発汗を生じ、ひどいときには、頻繁な衣服の交換やシャワーが必要になったり、汗によるシミが気になるため衣服の選択が制限されたりなど日常生活に大きな支障をきたします。治療は塩化アルミニウムを含んだ水溶液やクリーム、乳液などの外用が行われますが、塩化アルミニウムには保険診療に適用のある外用薬がなく、実費にて院内製剤として処方されています。

また、薬局や化粧品店などで汗腺の収れん(引き締めて汗を流れにくくする)剤あるいは汗の吸収剤等が配合されたOTC医薬品や医薬部外品、化粧品を購入して治療する方法もあります。

多汗症の原因となる汗はエクリン汗腺から分泌されますが、発汗は交感神経により調節されています。新規に開発された化合物であるソフピロニウム臭化物(エクロック®)ゲルはアセチルコリンという発汗を誘発する神経伝達物質を阻害することで交感神経による発汗を抑制します。薬液が眼やその周囲に付着すると散瞳や眼圧上昇を起こす可能性があるので、流れ落ちにくいゲル状で、かつ手で触れずに済むよう専用の塗布具(アプリケーター)が付属しており、朝一回の外用で夜まで効果が持続します。

外用以外の方法としては、プロパンテリン臭化物(プロ・バンサイン®)や漢方薬の内服、イオントフォレーシスという電気治療(当院には設置していません)、そして重症例については腋窩へのボツリヌス毒素注射やレーザー治療、胸部交感神経遮断術などの外科的治療が施術されます。ただし、外科的治療などでわきの下の発汗をほぼ止めてしまうと、施術後に代償性発汗というわきの下以外(顔、手足など)の発汗が増える現象が生じることがあります。当院では外用薬に加えて内服薬の併用、また希望によりボツリヌス毒素注射やレーザー胸部交感神経遮断術が施術可能な施設への紹介を行っています。

留意する点としては、ソフピロニウム臭化物(エクロック®)の使用はわきの下のみであり、手足の多汗については、これまで通り「汗水」と名付けた塩化アルミニウム製剤(院内製剤)にての治療を行っています。
また、腋臭症(わきが)はわきの下にあるアポクリン汗腺から分泌される汗由来の臭いですのでソフピロニウム臭化物(エクロック®)の効果は期待できません。

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