2010年5月7日(金)開院予定 ケーズHAT神戸メディカルモール
内服薬が処方される際、「食後」、「食前」などと指示されます。胃の中の食べものの有無や胃酸の量、胃の血流量などの影響を受ける薬剤については、指示通り内服をする方が効果的です。
特に、吐き気止めや食欲増進剤、経口糖尿病薬などは食前に内服しないと期待した効果が得られないこともあり、注意が必要です。
その一方、処方時の指示では「食後」などと記載されていても、もともとは内服時間を限定されていない薬剤もあります。そのような薬剤の特徴を利用して、じん麻疹の急性発症時や、湿疹・皮膚炎の夜間の急激なかゆみを治療する際には、食事の影響を受けず、かつ内服してから血中濃度が有効濃度に達するまでが早い薬剤を処方し、症状が出たら食事の時間にかかわらず早めに内服していただくことで、より早い症状の改善を期待できます。また、入浴時や運動時など体が温まったときに症状が出るコリン性じん麻疹には、1時間程度で血中濃度が最大になる薬剤を処方し、入浴や運動の1時間前に内服してもらいます。
最近では、唾液で崩壊するため水なしでも服用できる口腔内崩壊錠(OD錠)など製剤方法の工夫がなされ、どのタイミングでも内服しやすい薬剤も作られていますので、私たち皮膚科医もその様な特徴を生かして、より効果的な治療ができるよう心がけています。