2010年5月7日(金)開院予定 ケーズHAT神戸メディカルモール
日経メディカル オンライン2014年1月9日配信記事にて、下記のような内容が紹介されています。
「わが国の高齢化率はついに25%に達し、高齢患者は増える一方だ。高齢者の診療では、嚥下機能をはじめとする身体機能の低下などを踏まえ、患者のQOLを高めることがこれまで以上に求められる。<中略>薬の効果を確実に得るには患者に適した剤形の選択が重要だ。高齢者でも服用しやすい口腔内崩壊錠(OD錠)やフィルム剤、嚥下機能に左右されない貼付剤など、工夫を凝らした薬剤が相次ぎ登場している。」
小児では、大きい錠剤やカプセルは飲み込みにくく、粉状や顆粒状でも量が多いと口の中に溜まったり薬の塊が歯や口腔粘膜に貼り付いて不快感を生じたりすることがあり、逆に量が少な過ぎても飲んだ気がしないということがあります。高齢になると唾液の分泌が減少し、嚥下機能の低下が生じてくるため、薬が飲み込みにくく、喉のつかえを起こしてしまうこともあります
これまでも、表面を糖分でコーティングして表面を滑らかにして、かつ苦味を包み込んだ糖衣錠、唾液など少量の水分で薬剤が崩壊するOD錠など、飲み込みやすい剤形が工夫されていました。
さらに最近では、シート状になっていて口に含むとすぐに解け始めるため、吐き出しにくく、持ち歩きやすいODフィルム剤や、見た目は錠剤ですが、表面がゲル化剤でコーティングされており、水分を吸収すると表面がゲル化してヌルっと飲み込みやすくなるゲル化粒状錠などもあります。経皮吸収型の貼付剤は皮膚から有効成分が吸収されるため、内服の負担がなく、シート表面に貼った日付を記入できるので飲み忘れを防止することもできます。
皮膚科では外用薬を処方する機会が多いので、薬剤の効果のみではなく、臭いやべとつき、伸びやすさ、刺激感などの塗り心地も重視して採用薬剤を選択しています。同じ外用薬でも部位により塗った時の感触が変わります。頭部に軟膏を塗るとべとべとになりますし、手に水溶性ローションを塗っても頻回に塗らないとすぐに乾いてしまいます。塗り心地が悪いと外用薬の使用が滞り、そのため効果が十分に発揮されず、結局病気もなかなか治らないという結果に至ってしまいます。
当院では、近隣の薬局に協力いただいて可能な限り現物を使用してから採用薬を決定しています。内服薬を飲み込んで服用感を試すこともあります。製品によっては、後発(ジェネリック)品のほうが臭いがマイルドであったり、スプレータイプで外用が容易であったりなど、独自の工夫がされている製品もあるので、そういう特徴のある製品であれば先発品、後発品にこだわらず積極的に採用するようにしています。また、採用後もその薬剤の評判を薬局から逐一教えていただき、それを基に以降の薬剤の選択や変更に役立てています。