2010年5月7日(金)開院予定 ケーズHAT神戸メディカルモール
脱毛はさまざまな原因で発症しますが、外来で多く来院されるのは円形脱毛症、男性型脱毛症の2種類です。外見への影響の大きい疾患ですので、早期からの治療開始をお勧めします。
円形脱毛症は、頭部の1~数か所の脱毛斑の存在にある日突然気づいた、あるいは他人に指摘されて来院されることが多いです。アトピー性皮膚炎や自己免疫疾患(甲状腺の病気、膠原病など)を有しているヒトにやや発症する率が高く、精神的ストレスやウイルス感染(インフルエンザ、新型コロナウイルス感染など)、出産をきっかけに発症することが多いといわれていますが、それらと全く関係なく発症する例が大部分で、詳しい病態は明らかになっていません。
診察にあたっては、ダーモスコピーという皮膚の状態を大きく拡大して観察する医療機器での診察が保険適応になっており、それにより毛髪や毛根、頭皮の状態、および診察中に抜けた毛があればその毛に異常が無いかを観察します。
毛孔(毛穴の医学用語)が多く残り、開いている毛孔が多く、頭皮が柔らかく血色が良ければ治る確率が高いので、できるだけ早い時期に治療を開始します。治療方法は日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン(2017)に従って治療しますが、一つの治療を始めて数か月効果がなかったら別の治療に変更、のようなやり方では時間ばかりが経過してしまいますので、当院では内服と外用、および紫外線治療を同時に開始します。同時だとどの治療がどの程度効いているかの判断は難しいですが、脱毛症については早く治すことが最優先ですので、治療は最初から全て始めることにしています。
内服、外用にはそれぞれ複数の治療薬がありますが、まずは標準的な治療薬から開始し、効果が不十分であればステロイドの内服や外用、注射を追加したり、最初は週1回の紫外線照射の通院頻度を増やしたりします。発毛が認められれば紫外線照射の通院を減らす(一回の通院で3割負担では1,200円ほどかかります)、内服薬を減らすなど、通院や服薬の負担を減らすようにしています。
毛を作る毛母細胞は皮膚の深くにあり、頭皮から生えてくる毛が目に見えるようになるまで平均して2~3か月かかります。その間は強い不安とストレスを抱えることが多い時間となりますが、根気強く治療を続けましょう。