診断について・診断内容、治療内容についてのご説明

乾癬治療の選択肢が増えています ― 塗り薬、飲み薬、注射など ―

ニキビのイメージ乾癬には尋常性乾癬や滴状乾癬、膿疱性乾癬などの種類があり、皮膚の表皮細胞の増加速度が速くなるため厚くカサカサした粗造な皮膚症状になるのが特徴です。肘や膝、腰などおおよそ発症し易い部位はありますが、原因(遺伝、体質など)、悪化する要因(摩擦、感染症、高脂肪食、ストレスなど)が数多くあるため、症状の程度や薬の効果の個人差がとても大きい疾患です。

治療は多くの方法がありますが、複数を組み合わせて行うことが大部分です。内服頻度(1日1回、2回など)や外用にかかる時間、塗り心地、通院間隔(数週毎から数か月毎)、治療費など、様々な要素が治療継続にかかわってきます。

外用薬の主な治療は、ステロイド外用と活性型ビタミンD₃外用ですが、最近では両方を配合し、効果の速効性と持続性のいずれも高めた製剤が発売されています。頭部の乾癬にはシャンプータイプの外用薬(コムクロ®)があり、頭皮の乾癬部位に15分間塗った後、そのままシャンプーとして洗い流すので、塗布したままの外用薬のようなべとつき感が残りません。内服薬はエトレチナート(チガソン®など)などの角化症治療薬、シクロスポリン(ネオーラル®)などの免疫抑制薬がこれまで主でしたが、最近アプレミラスト(オテズラ®)という、乾癬患者の免疫細胞や表皮細胞で過剰に発現しているPDE4という酵素の作用を阻害する内服薬が発売されており、これまでの内服薬より肝臓や腎臓への影響が少なく、比較的安全に有効性を長期間維持することができます。また、エキシマライトによる紫外線治療を併用し、相当に厚くなった病変部位や、かゆみが強い症例に効果を上げています。

他にも、生物学的製剤という、体内のサイトカインという免疫を調整する物質の働きを弱めることで乾癬を治療する薬があり、重症例や難治例、関節炎を合併している症例に良好な効果が得られています。注射や点滴にて投与されますが、投与開始前に感染症や肝炎などの病気が無いかの検査を行う必要があり、使用を認可されている医療施設を受診しなければなりませんが、その際は当院から適切な施設を紹介させていただくことができます。

乾癬の治療は薬剤が高額な製剤が多く、それを継続しなければなりません。当院ではできるだけ早く症状を改善させ、改善とともに使用する薬剤を減らしたり、通院頻度を減らしたりなどの方法で経済的および時間的負担を少なくできるように努めています。そのためにも、早期に治療を開始することがとても重要です。

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